大阪市都島区の大阪精密入れ歯治療室。インプラントのパーツの破損について。

インプラントから入れ歯

インプラントの破損

インプラントのパーツの破損について説明します。

インプラントの破損について。

インプラントのトラブルには、インプラント周囲炎などの体の炎症によるものと、インプラントのパーツ自体が破損してしまうものがあります。このページでは、インプラントの破損について、説明していきます。

インプラントの構造

インプラントの構造インプラントは、左の図のような構造になっています。例外もありますが、大まかには3つの構造で出来ていると考えてください。骨に入れる部分のフィクスチャー(人工歯根)・歯ぐきから上の土台になるアバットメント・歯の形をした上部構造です。

上部構造の固定方式として、セメント方式やネジ止め方式があり、セメント方式の時はフィクスチャーとアバットメントをネジで固定し、アバットメントと上部構造をセメント(接着剤)で固定します。ネジ止め方式の場合は、アバットメントに上部構造をネジ止めする場合あれば、アバットメントと上部構造が一体化しており、フィクスチャーに丸ごとネジ止めする場合もあります。

インプラントオーバーデンチャー(入れ歯)の場合は、アバットメントの代わりにアタッチメント(磁性アタッチメント・Oリングアタッチメント)のパーツが入っており、上部構造の代わりに入れ歯が入ります。

上部構造の破損・劣化

恐らく、一番多いのが上部構造の破損です。実際にお食事するときにカチカチあたる部分なので、表面がすり減ったりかけたりすることは普通に起こります。また、上部構造自体はそれほど悪くなってなくても、周りの歯の状態が変わり、全体的に見ると不適合になってしまっていることもあります。

上部構造自体は、インプラントのパーツの中でも比較的交換しやすい部分です。他のパーツが問題なければ、比較的すんなり交換することが出来ますが、必ず可能というわけでもありません。

セメント方式の固着

上部構造は基本的に外して中のメンテナンスが出来るようにすることが多いので、セメント方式でも、衝撃をコンコンと与えると外せるタイプのセメントで固定することがほとんどです。しかし、場合によっては、何らかの理由で固着してしまって外せないことがあります。むしろ、年月が経っている場合は、固着している可能性の方が高いくらいです。その場合は、上部構造を破壊して取り除けば、アバットメントを再利用して、上部構造を付けなおすことが可能な場合があります。セメント方式の上部構造は、普通の歯に対してのかぶせものと構造と全く同じなので、その点はやりやすいことも多いです。

ネジ止め方式の固着

セメント方式より、ネジ止め方式の方がネジを緩めるだけで外れるため、着脱は容易なことが多いです。但し、ネジの頭がなめてしまっていたり、ネジの固定部分が何らかの理由で固着してしまい、外れない状態になってしまっていると、フィクスチャーからきれいに除去することが不可能になってしまう可能性があります。古いインプラントになると、割と固着して外れないことがあります。固着した場合の除去用のキットもありますが、100%取れるわけではないし、それで取れなければきれいに外せません。外れないとなると、上部構造の周りを削って、セメント方式に切り替えて無理やり残すという感じになると思います。

アバットメントの破損・固着

上部構造よりは少ないですが、アバットメントの破損やフィクスチャーと固着しているケースもあります。上部構造の破損より、対処が難しいことが多いです。

アバットメントの破損

アバットメントは、フィクスチャーにネジ止めされていることがほとんどです。そのため、ネジが固着したりしていなければ、外して交換すれば、新たにインプラントを使用することが出来ます。

アバットメントの固着

アバットメントを固定しているネジが取れたとしても、アバットメントとフィクスチャーがはまってしまって固着し、取れないケースがあります。除去用のキットはありますが、100%取れるわけではありません。取れないと、アバットメントの交換が必須(例えば、入れ歯用アタッチメントに交換など)のケースは対処不能になります。

また、アバットメントが除去できないと、フィクスチャーの除去キットが使用不能なので、フィクスチャー除去の処置が非常に大変になります。(下記)

フィクスチャーの破損

フィクスチャーのふちが欠けるなどの破損があれば、もうフィクスチャーの再利用は100%不可能で、除去するしかありませんが、フィクスチャーが破損していると除去キットが使用不能なので、除去することが非常に大変になってしまいます。(下記)

フィクスチャーの除去について

何らかの理由(インプラント周囲炎・かみあわせの邪魔になるなど)でフィクスチャーの除去が必要なケースがあります。その際、アバットメントを無事に除去できれば、フィクスチャー除去の専用キットがありますので、そのフィクスチャーに適用があれば、それこそ5分以内に大きな負担なく除去できることが多いです。

フィクスチャー除去キットが使えないと、削り落とすしかありません。

フィクスチャー除去キットが使えないとなると、基本的にはフィクスチャーを全て削り落とさないと取り除けません。天然の歯の抜歯のように力をかければ抜けてくるなんてことはありません。フィクスチャーの位置や深さによっては、周りに傷つけてはいけない組織(隣の歯・上顎洞・神経や血管の束など)があり、本当に除去困難になってしまうこともあります。大抵のインプラントは深いため、肉眼できれいに削ることはまず無理で、高倍率の拡大鏡やマイクロスコープで見ながら、特殊な道具で少しずつ削っていくしかありません。破片が残ってないか、途中でレントゲン写真を撮影して確認しながら、とても長いインプラントであれば最大1時間半くらいかかってやっととれたというケースもあります。患者さんの負担はとても大きいです。

外来では、こういったこともまだ可能ですが、例えば、高齢になって訪問診療を受けるという状況になったら、設備が足りずこういった処置は絶望的になってしまいます。インプラント周囲炎で痛かったり腫れていても、対処不能ということです。

インプラント破損のリスクの認識不足

当院は、自院ではインプラント治療を一切行っていないため、他院のトラブルの症例ばかり診ることになります。当院はインプラントのトラブルケースもある程度慣れているため、何とかはしますが、やはり、そのための患者さんの負担はそれなりに大きいです。インプラント処置の前に、そういったリスクの説明を受け、しっかり理解した上で、インプラント治療に踏み切るといったことが大事なのではないかと思います。

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