部分入れ歯のパーツのレストについて
部分入れ歯は、残っている歯に入れ歯をひっかけて固定するタイプの入れ歯です。部分入れ歯のパーツの中に、レストと呼ばれるとても大事なパーツがあります。左の写真の②にあたる部分です。
部分入れ歯のパーツの中のレストについて説明いたします。
部分入れ歯は、残っている歯に入れ歯をひっかけて固定するタイプの入れ歯です。部分入れ歯のパーツの中に、レストと呼ばれるとても大事なパーツがあります。左の写真の②にあたる部分です。
レストは、歯のかむ面や内側にくぼみをつけて、そこに引っ掛ける金属製のパーツです。レストの役割は、入れ歯で咬み合わせたときに沈み込んでしまうのをレストの部分で引っかけることで、沈み込みを防止するパーツです。ほんのちょっとした小さなパーツですが、入れ歯が沈み込んで歯ぐきに食い込んでお痛みが出てしまうことを防ぐ非常に大事なパーツです。
レストは歯やかぶせものの表面に小さなくぼみ(レストシート)をつけて、その状態で型取りをし、入れ歯を作るときにレストを組み込みます。そのため、型を取る前に最終的な入れ歯の設計をきっちりイメージ(当たり前のことだと思われるかもしれませんが、そうでもありません。)しておかなければいけません。入れ歯の設計に慣れていない担当者の場合、レストシートの形成が難しく、結果、適切なレストを設置できないということになってしまうかもしれません。
レストがついていれば、沈み込み防止になるかと言われれば、そういう単純なものではなく、適切な場所に適切なサイズで設定することで、最大限能力を発揮します。RPIクラスプと呼ばれる優れた金具があるのですが、その設計の中に「近心レスト」(奥歯の場合)というものがあります。歯の手前側にレストを設置した方が、力学的に有利になるという考え方です。しかし、RPIクラスプは保険適用になっていないせいか、近心レストが一般的になっていないのが現状です。
前歯の場合は、ジャベル状の形をしており、レストを乗せても滑りやすいのですが、「基底結節レスト」と呼ばれるレストを設定することで、しずみにくくしていきます。基底結節レストも保険診療においては、一般的ではありません。
なぜ近心レストが有用かとういことを説明します。レストは入れ歯の沈み込み防止装置ですが、入れ歯全体として考えると、入れ歯の歯の部分の支点となります。レストを支点として、入れ歯は回転運動をします。その際、遠心レスト(入れ歯の人工の歯の真横)より、近心レスト(入れ歯の人口の歯より1本分距離がある)の方が、入れ歯の歯の部分の回転半径を大きく出来ます。そのおかげで、沈み込み食い込み方を緩やかにすることが出来ます。また、単純に、1本歯がある部分が引っかかって、レストが歯から滑り落ちにくいということもあります。