大阪市都島区の大阪精密入れ歯治療室。材料の適材適所について。

入れ歯の材料

適材適所

材料には用途があります。適切に使用することが大事です。

材料には適材適所があります。

材料には、向き・不向きがあり、状況に応じて適切に選んでいくことが、良い結果を出すためにとても重要になってきます。

患者さんのお口の中は、人それぞれ全く違っており、一つの材料で全てまかなうということは、難しいです。また、新しい材料(治療法)だから、古い材料(治療法)より全てにおいて優れているということもありません。高価な材料だから、絶対に良いということもありません。もちろん、高価な材料は性能に優れているものが多いのは事実ですが、患者さんのお口にそれが良いかどうかはまた別問題なのです。

新しい治療法だから、従来の治療法より良いとは限りません。

新しい治療法だから、全ての面において従来の治療法より優れているわけではありません。いくつか、例を挙げてみます。

ノンクラスプデンチャー

従来の金属の金具に変わって、樹脂のウイングで入れ歯を固定する方法です。金具を使わないため、見た目に関してはとても有利です。しかし、見た目以外の性能(維持力・耐久性・歯への負荷)などに関しては、今のところ金属の金具より劣っている可能性があります。そのため、見た目に対して問題がない場合、従来の金属の金具を使用した方が良いです。

コンフォートデンチャー

入れ歯の内面に柔らかい素材(柔らかい樹脂やゴム)を貼り付けて、歯ぐきへの圧迫を和らげる方法です。従来の金属やプラスチックなどの硬い素材と比較して、場合によっては歯ぐきのお痛みを減らすことが出来ます。しかし、柔らかいから絶対に痛みが減るというわけでもなく、従来のプラスチックや金属などの素材でも、多くの方はお痛みなくお食事されています。コンフォートデンチャーの素材の欠点は、劣化しやすい・入れ歯が分厚く(違和感が出やすい)なることなどがあります。歯ぐきが薄く敏感な方で、プラスチックや金属の素材ではどうしてもお痛みが止まらない場合のみ使用した方が良いと考えています。

新しい治療法は、信頼性が低い可能性があります。

新しい治療法は、やはり新しいだけに実績がありません。少数の人に対しての研究で良い結果が出たとしても、沢山の人に行っていくことで、問題点がわかってくることも沢山あります。これは、新しい治療法が開発されては無くなってきたという医学の歴史にも見ることが出来ます。もちろん、新しい治療法にも画期的なものがありますので、慎重になりながらも、状況に応じて積極的に利用していくということが必要だと考えています。

高価な材料だから、必ず優れているわけではありません。

もちろん、良いものは値が張るということは、一般的に言えることです。しかしやはり、高価な材料だから、全ての面で優れているわけではありません。

高価な材料は、材料の原価が高額ということや、研究開発費にしっかりコストがかけられていることで、質が高くなるということが基本的に考えられます。しかし、その質の高さが患者さんにあわないこともあります。

型取り材の違い(シリコーン印象材とアルジネート印象材)

一般的に、型取り材は精度が高い(精密に取れる・変形しにくい)という性質が良いとされます。シリコーン印象材(非常に高価)という型取り材は、まさに精度が高く変形しにくい性質を持っています。アルジネート印象材(非常に安価)は、シリコーン印象材と比較すると精度が低く、時間が経つごとに変形するという性質を持っています。普通に考えれば、シリコーン印象材の方が優れており、当院でも可能な限りシリコーン印象材を使用しています。

しかし、シリコーン印象材は固まった後の硬さが硬いという欠点を持っています。アルジネート印象材は、それと比べるとかなり柔らかいです。例えば、歯周病が進んで弱っている歯の型取りをしないといけない場合、硬いシリコーン印象材を使ってしまうと、型取り材を歯から外すときに強い力がかかってしまい、歯へのダメージとなってしまいます。型取りで歯にダメージを与えるなんてことは本末転倒です。

そのため、場合によっては安価なアルジネート印象材で型を取った方が歯へのダメージは低くなります。その上で、アルジネート印象材での型取りの精度を上げるために、材料の取り扱いを繊細に行い、少しでも精度を高くする技術を高めて行く必要があります。

材料の選択も歯科医師・歯科技工士の知識・経験が必要です。

結局は、適材適所ということで、自由診療において健康保険制度による材料選択の制限がない状態で、それぞれの患者さんにあった材料の使用を選択していくということで、質の高い治療を提供することが大切です。それには、歯科医師・歯科技工士共に材料の性質や取り扱いの知識や技術を磨いていくことが大切です。