印象材(型取り材)は適切に選ぶ必要があります。
入れ歯を作るときには、印象材(型取り材)を使用します。色々な印象材がありますが、適切に使用することにより、精度の高い型取りが可能になります。
型取りの材料について、説明していきます。
入れ歯を作るときには、印象材(型取り材)を使用します。色々な印象材がありますが、適切に使用することにより、精度の高い型取りが可能になります。
印象材の種類には、以下のようなものがあります。
シリコーンゴムによる型取り剤です。特徴としては、最も精度が高い印象材です。使える状況であれば、この印象材を使用するのが良いです。欠点としては、ゴムなので水をはじく性質があり、水分がたまっていると細かい部分が荒れてしまいます。また、硬化後、硬い印象材なので、歯周病などで歯ぐきが下がっている状況だったりすると、引っかかってしまって外れなくなってしまいます。シリコーン印象材は、同じ製品の中に固まるまでの柔らかさに段階があり、組み合わせて使用することが多いです。高価なので、保険診療ではあまり使用されません。
アルジネートとは海藻の成分です。粉と水で練るタイプのもので、よくあるピンク色や黄色をしている口の中に入れると冷たい印象材です。特徴としては、水分があっても、比較的荒れにくいことや、硬化しても柔らかいので、大体どんな状況でも使用できることです。欠点は、シリコーン印象材と比較すると、細部の精度が劣る場合がりますが、適切な使用法を取れば、十分精度の高い型取りを行うことが出来ます。
いわゆる食べる寒天を材料にした印象材です。特徴は、アルジネート印象材と比べて、硬化前は柔らかくて細部の精度に優れていることです。アルジネート印象材と引っ付くため、同時に使うことが出来ます。寒天印象材を細かいところに塗ってから、アルジネート印象材で型を取る方法があります。(寒天・アルジネート連合印象)
シリコーン印象材は、空気中で放置しても変形しませんが、アルジネート印象材や寒天印象材は、空気中で放置すると水分が蒸発して変形します。また、水に漬け込んでおいても、水を吸いすぎてしまって、変形します。とにかく、変形させないように型を取ったら速やかに消毒をして、石こうを流して模型を作ることが大事です。
材料は、その型取りの種類によって、適切に選択されるものです。当院での材料の選択は以下の通りです。
口の中や既存の入れ歯を分析するための参考模型を作るための型取りです。基本的には、アルジネート印象材一択で、十分な精度がでます。
既成の金属トレーによりアルジネート印象材により型を取ります。これにより作った石こう模型上で、精密な型を取るための個人トレーと呼ばれる道具を作ります。
個人トレーを使用した上で、型を取ります。出来る限り、シリコーン印象材を使用します。しかし、歯周病などで歯ぐきが下がって、歯が長くなってしまっているときにシリコーン印象材を使用すると引っかかってしまい、外すときに強い力がかかってしまってそれにより型取りが変形してしまったり、最悪、外れなくなってしまって個人トレーを破壊して撤去するということになってしまいます。無理はせず、アルジネート印象材(場合によっては寒天アルジネート連合印象)で型取りした方が精度が高くなる場合も多々あります。
当院では、お口の筋肉の動きを記録する特殊な型取り方法を行っていますので、印象材の硬化前の硬さをコントロールできるシリコーン印象材一択です。歯がなければ、引っかかって外れないということもありません。