大阪市都島区の山下歯科。インフォームドコンセントとパターナリズムについて。

抜髄に至るまで

インフォームドコンセントとパターナリズム

患者さんへの治療内容の説明と同意・医療と幸福について。

インフォームドコンセントとは。

インフォームドコンセントは、説明と同意という意味で、治療内容に関して医師から患者さんに十分説明し、納得した上で治療を受けるということです。一見、簡単なように見えて非常に難しいことではあります。

医師から患者さんへの情報をどこまで伝えるか。

当然ですが、医師は患者さんより医療知識が豊富です。治療効果・治療の成功率・予後・副作用・治療費・治療期間・治療効果を担保する科学的原理など、様々な要素があります。医師の立場からしても、どこまで患者さんに説明すれば十分説明したことになるかということは、基準もないし、人それぞれに対応するということになってしまいます。

それは、医師が十分だと考えている説明の量について、不十分だと感じる患者さんもいれば、情報量が多すぎて、混乱してしまうということもありえます。この辺りは、患者さんの反応を見ながら、医師が裁量をもって説明するしかありません。この説明にも、当然技術が必要なことだと思います。 医師一人一人が、努力をするしかありません。

また、医師が故意に情報の出し方をコントロールすることで、患者さんの意見を誘導することが出来ます。例えば、インプラント手術の生存率を強調し、インプラント周囲炎の発生率を伝えないなどメリットをデメリットより強調すれば、納得感をもって、治療に同意させることも可能です。全く同じことを言っていたとしても、印象を変えることもできます。例えば、「80%の成功率」と言うか、「5人に1人は失敗する」と言うかで印象が違います。そこには、公平な立場に出来るだけ立つという医師の良心が必要となってきます。

パターナリズム(父権主義)からの脱却

医療においてのパターナリズムとは、強い立場にある医師が、弱い立場にある患者さんの利益のために、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することです。恐らく、今の日本では、まだまだパターナリズムが強いです。治療などの医療での介入には、メリットもデメリットもあります。パターナリズムでは、デメリットさえ矯正的に患者さんに背負わせるということになってしまいます。患者さんの立場からずると、これは非常にまずいことです。

人間は、病気にならないために生きているわけではありません。

極端な話をします。砂糖などの糖を食べると、むし歯になりやすです。むし歯にならないことを最高の目的にすると、糖を摂らなければ、むし歯になりにくいわけですから、むし歯にならないために、一切の糖を食べないようにしなければいけないという風になってしまいます。

そうすれば、むし歯には確かになりにくくなりますが、お菓子も果物もあまり料理も多くのものが食べられなくなってしまいいます。甘いものを食べることが生きがいだった方にとって、むし歯になることと甘いものを食べられないことのどちらが苦しいことでしょうか。むし歯の例は極端ですが、このような例は他にも色々とあります。糖尿病と生活習慣・禁煙と肺がん予防・胃ろうと延命などです。

大抵の方は、病気にならないことが人生の目的ではなく、幸せな人生を過ごすことだと思います。そして、病気にならないことを最高の目的にしてしまうと、逆に不幸になってしまうことがあります。残念ながら、医療のパターナリズムは、どうしても病気にならないこと・病気を治すことばかりに重視し、患者さんそれぞれの幸福を軽視しがちです。

医療のパターナリズムからの脱却は、人の幸福にとって、非常に大事だと思います。、

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