大阪市都島区の山下歯科。感染根管治療での根管の機械的清掃について。

診療への思い

感染根管治療での根管の機械的清掃

機械的清掃による細菌の除去について説明いたします。

感染根管治療での根管の清掃

感染根管治療では、根管内に既に細菌が感染しており、細菌の毒素により根尖性歯周炎という病気が引き起こされます。他の病気と違う感染根管の問題は、根管内にはすでにご自身の細胞や血液が存在しないただの筒のような状態になっているため、細菌をご自身の免疫力でやっつけることが出来ないことです。もちろん、血液がないため、根管内にはお口から飲んだお薬も届きません。

根尖性歯周炎の治療で大切なのは、歯科医師の治療による徹底した根管内の細菌の除去です。

根管内の細菌の除去方法は、機械的清掃と消毒あります。このページでは、根管内の機械的清掃について、詳しく説明していきます。

感染根管になった原因

感染根管は、大きく分けて2パターンあります。1つ目は、むし歯が深くなっても放置したせいで、自然と歯の神経の組織が死んでしまい、感染根管となってしまったパターンです。2つ目は、歯科医師のにより、一度神経を取る治療を行ったけれども、失敗して感染根管となってしまったパターンです。1つ目のパターンは、イニシャルトリートメントといって治療法自体はどちらかといえば初めて神経を取る抜髄に近いです。実際は、感染根管治療のほとんどが2つ目のパターンの抜髄が失敗した歯の再治療ですので、こちらをメインに説明していきます。

再治療になる原因

神経を取る治療をするときに、根管内に細菌感染させてしまう原因として、以下のようなことが考えられます。再治療になった歯を治療する際は、下記のような状況をどう解決するかを考えて治療を勧めます。

  • むし歯を取り残していた。
  • ラバーダムを使用せずに治療を行った。
  • 治療中の仮詰めが不十分で、細菌が仮詰めと歯の間を通って中に侵入した。
  • 滅菌されていない器具で治療を行った。
  • 根管を見落とした。
  • 根管充填が不適切な材料で行われていた。
  • 土台やかぶせものの適合性が悪く、隙間から細菌感染が起こった。
  • 治療自体は成功していたが、年月がたち、再びむし歯が出来て根管内に細菌が侵入した。

根管の機械的清掃の考え方

根管の機械的清掃とは、根管内の感染している部分を器具で削ったりなどして機械的に取り除いていくということです。むし歯を削って取っていくのと考え方は同じです。感染した細菌は、層になって根管内にこびりついていて、単に消毒薬をかける程度では効果がとても低いです。そのため、物理的に掻き出していくのが効果的です。例えば排水口を掃除するとき、薬剤だけでピカピカにすることは難しいですが、たわしである程度きれいにしたあとに薬剤でお掃除すればよりきれいになるのと同じです。

根管内で感染している部分は、歯であればむし歯染色液で染め出したり、むし歯の細菌で溶かされている部分は変色したり柔らかかったりするので、色や硬さを基準に取り除きます

また、再治療の場合は根管内の異物(根管充填剤や折れた器具)を可能な限り取り除きます。異物と歯との境界に細菌が沢山潜んでいるからです。

前の治療時に見落とされた根管があれば、その根管を治療します。見落とされるには理由があって、通常とは違った複雑な形をしていたり、場所が特殊だったり、細かったりすることが多いです。CTやマイクロスコープを使用して、可能な限り探し出して治療します。

この根管の機械的清掃を適切に行うことにより、根管内に潜んでいる細菌を50%減らせると言われています。

根管の機械的清掃の具体的な方法

当院では、以下のような様々な器具で根管の機械的清掃を行っています。

Kファイル・Hファイル

柄付きの針のような形をしている器具です。針の部分にやすりのように歯がついており、根管内に入れて上下運動させると、歯を削ることが出来ます。最も基本的な器具です。細いものは先端の直径が0.06㎜から太いものでは直径1.4㎜程度まで様々なサイズがあり、細い根管の探索や後述するニッケルチタンファイルでは対応できない感染が進んだ太い根管まで様々な状況で使用できます。

欠点はステンレス製のため硬く、曲がった根管を治療する際には根管の形に添えず根管の形を傷つけることがあるため、注意が必要です。当院の精密根管治療では、全て新品を使用しております。

ニッケルチタンファイル(Wave One Gold・プロテーパーネクストなど)

Kファイルと同じような構造ですが、柔らかいニッケルチタンと呼ばれる形状記憶合金で出来ており、手ではなくモーターを使用してドリルのような感じで根管内を削ります。柔らかいので、曲がった根管に沿って削ることが出来ます。近年、かなり高性能化してきており抜髄や再治療ではない初回の感染根管治療では、この器具のみで根管の機械的清掃を終えてしまうことが出来ることもあります。

とても便利なのですが、何度も滅菌して再利用すると根管内で折れるリスクが高くなったり、非常に高価という欠点があります。当院の精密根管治療では、全て新品を使用しております。

超音波スケーラー

超音波スケーラーと呼ばれる超音波振動を発生させる器具の先端に、根管内清掃用のチップを装着し、使用します。Kファイル型のものや、真っ直ぐの針状のもの、ダイヤモンドの粒がつけられているものなど、色々な種類があります。超音波振動を与えて削れるので、マイクロスコープで確認しながら、削りたいところを自由に削っていくことが出来ます。

特に、ガッタパーチャポイントと呼ばれる根管充填剤を取り除くとき、折れた器具を取り除くとき、イスムスやフィンといった特殊な根管の形状の際の清掃時にとても威力を発揮します。

ガッタパーチャリムバースピアー・マイクロエキスカベーター

ガッタパーチャリムバースピアー・マイクロエキスカベーターは、長い柄付きの針ですが、先端に肉眼では小さすぎて見えないレベルの返しがついています。マイクロスコープ使用時に、根管内の異物をひっかけて取ったりするときに使用します。

ページトップへ戻る

  1. 山下歯科
  2. 根管治療専門サイト
  3. 感染根管治療での根管の機械的清掃