大阪市の山下歯科。歯の破折の防止について。

入れ歯とインプラントの比較

歯の破折の防止

歯が割れにくくするために出来ることを説明していきます。

歯の破折の防止するために出来ること。

歯根破折

歯が割れてしまうと、場合によっては歯を抜かなければならなくなったりする重篤な状態になります。歯が割れることを完全に防ぐことは不可能ですが、出来るだけ割れにくくするために出来ることを説明していきます。

基本的に、歯が割れるのは力の負荷によって起こります。

歯が割れるのは、歯が耐えられないくらいの強い力がかかることによって起こってしまいます。逆に言えば、歯に全く力がかからなければ、絶対に割れないということになります。または、歯自体を力がかかっても耐えられるように(必ずしも強度を上げるという意味ではありません。)治療を行うということになります。天然の歯が最強の状態ですが、むし歯治療した歯について、出来るだけ割れにくいような治療を行うようにするということになります。

TCH(歯の接触癖)を減らすこと。

歯に全く力がかからなければ、絶対に割れないということは、出来るだけ歯と歯の接触は減らしていくということになります。食事中の食べ物をかみ砕く瞬間以外は一切歯と歯は接触しないというのが理想(1日精々20分程度のみ接触)です。TCHとは、日中に無意識に歯と歯をあわせる癖のことで、癖を減らすことが出来れば、歯の負担は大幅に減ることになります。

睡眠中の歯ぎしりや食いしばりを減らすこと。

睡眠中に歯ぎしりや食いしばりも歯に対して強い力がかかるため、歯が割れる原因として考えられます。歯ぎしりをしている睡眠中は、ご自身の意識がありませんし、そもそも夜中に歯ぎしりをしているかどうか、ご自身でわからないと思います。(当院では、ブラックスチェッカーと呼ばれる道具で調べることが可能です。)

歯ぎしりは、日中のストレスを解消しているためにしているという説があります。リラックスする時間を作っていただくということは、歯ぎしりのことは別にしても、健康的な生活を送る上では有効です。

また、顎の関節と歯の斜面の角度が調和していないことで、スムーズな歯ぎしりが出来ず、歯ぎしりの回数が増えてしまうという説もあるため、かみ合わせ自体を歯ぎしりしやすいように調整するということも場合によっては有効です。

硬いものを食べない(かまない)ようにすること。

日本の歯科の教育は非常によろしくなくて、小学校あたりで顎の発育のために、硬いものをよく噛みましょうと習ってから、そこで止まってしまっています。確かに、成長期にはそういうことも必要かもしれませんが、発育が終わった状態で硬いものを食べるのは、単なる歯のダメージにしかなりません。かといって、歯を守るために食べ物を全て柔らかくするというのも極端で、食べる楽しみということもありますので、ほどほどにしましょうということです。アメはなめるもので、噛むものではありませんし、氷もかむものでありません。元々、噛むものでないものは、出来るだけかまないようにしましょう。魚の骨も、うっかりかむと歯が割れることがあるので、気を付けましょうということです。あとは、食べる楽しみもありますので、歯(臓器)は消耗品と割り切っていくということになります。

歯が割れにくいような質の高い治療を受けること。

歯が絶対に割れないようにすることは不可能であるし、割れにくい治療というのも、絶対的にこうすればよいということではないので、ケースによって考えていくしかありません。

極力、むし歯を作らないようにする。

むし歯になると、歯が少なくなり、単純に歯の強度は下がります。いくら材料を接着させたところが、それは歯が復活しているわけではなく、人工物で補っているだけなので、元通りにはなりません。義手や義足と同じです。むし歯に全くならないということは難しいですが、出来るだけむし歯を減らすようにお手入れしたり、むし歯が出来ても早期に発見できるように歯科医院に定期的にかかることも大事です。

無理につめもので粘りすぎないようにする。

日本人は特に歯を削ることに心理的な抵抗を感じやすい国民だと言われています。もちろん、極力歯を削らないようにすることは良いことなのです。しかし、それを優先しすぎて、歯が薄くなってしまっているのに、補強できないつめものタイプ(コンポジットレジン修復やインレー修復)を選択すると、歯を削る量は少なくても、歯が割れるリスクが増大しているという矛盾した状態になってしまっています。コンポジットレジン修復やインレー修復にも限界はありますので、むし歯が大きくなってきたら、神経を取らずに、浅く削ってかぶせもの(クラウン以外にも、オーバーレイというタイプのものも最近はあります。)を入れた方が、歯の寿命が伸びる場合があります。

歯の神経を取るような大きなむし歯にならないようにする。

歯の神経を取るほどのむし歯になれば、歯が薄くなってしまていますので、単純に強度が下がるというのと、神経を取ったら、かむ力を感じる感覚が鈍ってしまい、かんだ時の衝撃が強くなりがちなので、総合的に割れやすくなります。大きなむし歯を作らないようにすることも大事です。

ファイバーコアをしっかり接着させていれる。

残念ながら、歯の神経を取るはめになってしまった場合もあると思います。歯の土台に従来の硬い金属ではなく、歯の硬さと近いファイバーコアを入れると、割れにくくなると言われています。

フェルール効果(帯冠効果)をしっかり考慮した設計を行う。

歯にかぶせものを入れるとき、歯ぐきより上にご自身の歯が出来れば2㎜、最低1㎜あれば、大幅に歯が割れにくくなると言われています。逆に言えば、それより歯が少なくなってしまうと、健康保険診療では抜歯になってしまいます。自由診療であれば、強制的挺出や歯冠長延長術などの処置により、歯を残せる可能性があります。

出来るだけ歯と硬さの近いかぶせものを入れる。

これは歯科医師の間でも共通認識というわけではありませんが、かぶせものの硬さが硬すぎれば、かんだ時に歯にかかる衝撃が強くなると思われます。歯と全く同じ硬さの素材はありませんが、極力近づける努力は必要だと思います。ファイバーコアの時は歯と同じような性質にするとよいと言われるのに、かぶせものの素材となると、急に硬い素材を好む先生が増えるのがよくわかりません。具体的な素材としては、ポーセレン(陶器)や金合金(20金のタイプ2と呼ばれるタイプのもの)あたりが私は良いと思います。

逆に、セラミック系ではジルコニアは人工ダイヤモンドに近い硬さで硬すぎるし、金属であれば、金銀パラジウム合金やチタン・ニッケルクロム合金(保険の銀歯)なども硬すぎると思います。

また、歯と全く同じ硬さの素材はありませんので、すり減り方も天然の歯と異なります。その分、定期検診などで歯科医師のチェックを受け、かみ合わせを微調整することは大事になってきます。

インプラントは骨とがちがちに引っ付くため硬い。

天然の歯では、歯と骨は歯根膜と呼ばれるクッションのような線維で引っ付いています。しかし、インプラントは、骨とがちがちに引っ付くため、かんだ時に相手の歯に与える衝撃が強くなりがちです。また、インプラントは天然の歯と違って、かむ力を感じる感覚はあまりないため、かむパワーをコントロールしづらいということもあります。インプラントの周囲の歯は、割れるリスク高いと考えられるでしょう。